Tuesday, March 29, 2011

3 月 26 日の紙面から

26 日の朝日新聞の朝刊紙面から気になった記事を 4 件。(投稿忘れていました)

電源喪失 想定できぬ

原子力発電所の非常用電源を含めた電源喪失の事態について、原子力安全・保安院、原子力安全委員会の両トップが過去に 「そうした事態は想定できない」という趣旨の考えを公の場で明らかにしていたことがわかった。

2006 年 10 月の衆院内閣委員会 (Link) で、当時の原子力安全委員長(現・日本原子力開発機構理事長)は「日本の(原発の)場合は同じ敷地に複数のプラントがある場合が多いので、他のプラントと融通するなど、非常に多角的な対応を事業者に求めている」と説明。

2010 年 5 月の経済産業委員会で、現・原子力安全保安院院長は論理上は炉心溶融もあり得るとしつつ、「そういうことはあり得ないだろうというくらいまでの安全設計をしている」と述べた。

2007 年 2 月の中部電力浜岡原発訴訟で現・原子力安全委員長は「非常用ディーゼル2個の破断も考えましょう、こう考えましょうと言っていると、設計ができなくなっちゃうんですよ」「ちょっと可能性がある、そういうものを全部組み合わせていったら、ものなんて絶対作れません」などと証言していた。
40 年前の建設期には想定できなかった大規模な津波の可能性が、近年の研究で起こり得ることがわかってきていたのに、迅速な再検討を行わなかったことが悔やまれる。非専門家の素朴な疑問に如何にまじめに答え、如何にまじめに現実の設計に生かしていくか、その感覚が責任者には求められるのだろう。

えっ!先月と同じ電気料金

3月中旬頃に検診することになっていた世帯で、一都八県 306 万世帯の検診が期日に間に合わなかった。東電は二月の料金で支払ってもらい、四月の請求の際に実際の料金と足し引きして調整するという。東電はこうした説明を付けずに請求書を送りつけていた。

「代金は後日に」の暖かさ

(略)小学生の娘と夫の安否もわからず、余震におびえ「寒い」と泣く子を抱えて途方に暮れた。そのとき、停電で薄暗い店を開けてくれたコンビニがあった。とりあえず水と食べるものを買おうと、手探りでパンや水などを選んだ。すると店員さんが「レジが動かないので代金は後日お願いします」と言い、並んだ人が持っていた商品を次から次へ袋に詰めてくれた。日持ちのしないものだけでなく、全ての商品を。(略)店員さんたちの好意に触れ温かい気持ちだった。(略)後日絶対に払いに行きますからね、サンクス仙台二日町店さん。
上の二つの記事は非常に対照的だ。コンビニは機転を利かせたのだろうか、それとも以前から想定された対応だったのだろうか。いずれにせよ冷静でいて暖かい判断だと思う。それに比べ、東京電力の対応は後ろに弁護士が控え、計算し尽くされた冷たさを感じる。このような組織が生き残れない組織なのだろうと想像する。

電波時計、東日本で時刻合わず 原発の避難地域に送信所 (link)

時刻合わせに使われる標準電波送信所は国内に2カ所あり、その一つが東京電力福島第一原子力発電所から約17キロの地点にある「おおたかどや山標準電波送信所」(福島県田村市)。送信所を運営する情報通信研究機構によると、政府が同原発から半径20キロ圏内に避難指示を出した12日夜、職員を退避させた。ふだんは2〜4人が常駐していた。東日本を中心に、電波時計が正確な時刻を自動補正できない状態が続いている。送信所の再開の見通しはたっていない。なお、西日本向けの佐賀市「はがね山標準電波送信所」は通常運用している。

こんなところにも、原発の被害があって、東日本全体に影響しているとは。TV がデジタルになってしまい、時刻制度がなくなってしまった現在、簡易で生活精度を得られる電波時計は重要な役割を持つはずだったのではないだろうか。いずれ、福島浜通りから離れた場所に再建設しなくてはならなくなるのでしょう。

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